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とめどなく流れるよだれ

「文字は語る」を読んで半分くらい

文字は語る―デザインの前に耳を傾けるべきこと」を読んでる。


明朝体とゴシック系があることぐらいはわかったけれど、同じような明朝体がこんなにあっても仕方ないじゃん!って思ったんですよ。でも、同じだと思っていたものが、じつはそれぞれに表情が違うということに気がついてから、急におもしろくなってきたんです。

p.34 「祖父江 慎さんに聞く読む文字のなれと違和感」より

祖父江さん、テレビで見たことある。有名人だ。

この本に出てくるような人でも最初はこうだったのか、と思った。たいして書体の違いがわからないというか、意識してなかったという。

書体に関して、ぼくは今なんか中途半端な感じだ。デザイナーを何年かやってるので、経験からしてこの本に書いてあることを少し理解できる。たとえば、文字は文章の意味を伝えるために必要な素材なのに、その文字の美しさが邪魔をして文章が読者の頭に入ってこなければ本末転倒である、ということはわかる。

ただ、やはりこの本の著者たちが語っている内容の半分以上は理解しきれない。その一番の理由としては、自分に知識が足りないからだと思う。

では、どのようにこれから知識を蓄えていくのか?知識の蓄え方として 2つ思いついた。

  1. 書体そのものを知る
    • 何を知る:書体の設計と、つくられた背景を知る
    • どうやって:書体について細かく説明された本を読む
    • どうなる:表紙や本文といった文字が置かれる場に対して、どの書体が最適か判断することができる
  2. 書体の使い方を知る
    • 何を知る:選んだ書体を、文字が置かれる場により自然に効果的に溶け込ませる方法
    • どうやって:たとえば松田行正さんが p.40 で語られているように、優れた使われ方をしている書体を解剖・検証する
      • 見て “読みやすい” と感じた文字組みを具体的に検証する。定規を当てて電卓で計算し、それがどういった構造になっているのかを確認してみる。チェック項目は、本文書体、級数、行間。2段組み以上の場合は段間、グリッドの仕組み。自分の手を動かして、文字組の構造を明かすことで、読みやすい文字組が自分のものとなり消化されていくのだ。

    • どうなる:文章(書体)を通して伝えたい情報や印象が、より読者に伝わりやすくなる

“デザイン” という作業の中で文字のデザインに触れる機会は他の人と比べて多かったに違いないけど、まだまだわからないことだらけ。

駒井靖夫さんのこんな言葉にも驚いた。自分がデザインするときにやったことがないどころか、考えたこもないぞ、って。これを考えられるのはすごいわ、って。

とにかく読みやすさ。ひと目見て意味がすっとわかることが大事です。そのために微調整をしています。たとえば「たてものの中」という一節があった場合、同じ「の」でも名詞に含まれる「の」と、助詞の「の」は違いますよね。読む人にそれが瞬時に伝わるように、名詞に含まれるほうに比べ、助詞の「の」を小さくするということをしています。それだけで印象の残り方がずいぶん違うんですよ。

p.61 「駒井靖夫さんに聞く手動写植の文字組み」より

奥が深道。
本は残り半分、あとは次の機会に。